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「ドラママチ/角田光代」 [書籍]


ドラママチ (文春文庫)

ドラママチ (文春文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 文庫


妊娠、恋愛、プロポーズ…女はいつも何かを待っている。中央線沿線の「マチ」を舞台に、小さな変化を「待つ」ヒロインたちの8つの物語。
(「BOOK」データベースより)

世のどんな状況にある女性はみんな、意識していなくても
何か(ドラマ)を待っているんじゃないだろうか。
小説の中の8人の主人公は今の状況を変えたいと
思いつつもうまくいかなかったりして、ほんとよくある話と
言ってしまえばそれまでだけど、うまく描いてるよなあと
思いました。

が、面白い話(自分が興味を持てる話と言ったらいいのかな)と
そうでない話があって、読むのに少し時間がかかってしまいました。

でも、角田さんの描くお話は面白いです。
またいろいろ読んでみよう。

「三面記事小説/角田光代」 [書籍]


三面記事小説 (文春文庫)

三面記事小説 (文春文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/09/03
  • メディア: 文庫


私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました。誰もが滑り落ちるかもしれない記事の向こうの世界。現実がうみおとした六つの日常のまぼろし。
(「BOOK」データベースより)

実際、新聞の三面記事に載っていた小さな記事でしかなかった
事件をテーマに、当事者同士の思いから話ができています。

普段の三面記事は事件の淡々とした事実しか書いてないので、
年齢や加害者、被害者を見て私たちは
「ああ、いい歳してバカだなぁ~」
「なんでそういう考えになっちゃうんだ??」
と理解できないことが多く、そこは想像するしかないのだけど、
この作品は、なぜそういう思いに至って犯行することになったか、
狂気じみてるところもあるのだけど、ほんの自分の隣でおきる話でも
あったりするのだよなあ・・・と読んでました。

思い込みってのもコワイ。
自分のさりげない行動が、知らない間に相手にインパクトを
与えていて被害者になりうることもあったりする。

まあ、普通に暮らしていればそうそうないことなんだけど、
偶然の掛け算(by佐藤雅彦さん)で思いがけないことが
起きたりするのだよね。

「天使の代理人/山田宗樹」 [書籍]


天使の代理人〈上〉 (幻冬舎文庫)

天使の代理人〈上〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 山田 宗樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 文庫


生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。その時から罪の償いのために半生を捧げる決意をした彼女は、声高に語られることのない“生”を守る挑戦を始める―。胎児の命、そして中絶の意味を問う衝撃作。
(「BOOK」データベースより)

今、お昼に同名のドラマをやっていて、たまたま見てしまった
ところから毎日見るようになってしまい、原作本も読んでみようと
買ってみたのでした。

子どもができれば産みたいと思う人の方が圧倒的多数だと
思っていましたが、年間45万人も中絶されているとのこと、
出生率が上がらないと言っている日本も、単純にこの人数が
全部生まれればそんなことないのか、と結構衝撃的でした。

法律上、赤ちゃんは母体から出てきてからはじめて「ヒト」と
認められるため、それから死なせてしまうと立派に殺人罪に
問われてしまうのだけど、中絶はそうじゃないんだよなあ。
中絶手術をした女性は心や体にダメージを受けるけれど、
犯罪に問われることもなく。

でも望まない妊娠や、経済状況によって育てられないなど
個々の事情があったりして、中絶はやむを得ないと考える
こともできるのだけど、だったらできないように気をつけろ、
という意見もあったりして、タマゴが先かニワトリが先か
みたいな話だよなと思って読みました。

どのみち、いろいろな考えがあることなので、結論は永遠に
出ないのだろうけど、たとえば周りに中絶したいという
人が現れたら自分は何て言うのだろうかと思いました。

ドラマは・・・
大澄賢也がオカマの役をやっているのだけど
すごーくキモい(笑)


「流星ワゴン/重松清」 [書籍]


流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/02/15
  • メディア: 文庫


38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った。
僕らは、友達になれるだろうか?
死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。 (出版社 / 著者からの内容紹介)

なんかもう、自分もこの主人公くらいの歳になってしまった。
「死んじゃっていいかなあ、もう・・・」なんて思ったこと、数えきれないくらいある。

でもこの主人公はそう思ったときに、交通事故死して成仏できずにいる
親子のワゴンに拾われたのだった。
そして、死んでしまう前に、こんなサイテーな人生になってしまう前の、
本人も気付かない「大切な場所、時間」に連れて行ってもらえたのだ。

最初は思うように行かないのだけど、何度も大切な場所へ行くたびに
だんだんと自分の運命を少しずつ変えることができる。

主人公は、その時死の境をさまよっていた厳しかった父と
会うことになるのだけど、父子の感情も自分は男でもないし
子どももいないので、こういう気持ちになるのだなあと
この話を読んで想像することができた。

全体的にはファンタジーなのか、幽霊がでるならばホラーなのか
いや、でもなんかスっと入ってくる、こういうことが実際
あってもいいんじゃないか、というか、自分が本当に
「死んじゃってもいいかも」と思ったときに、このワゴンに
出会えたらいいのかなと思ったりもした。

父子の愛情、輪廻観など、いろいろ考えさせられる面白い作品だった。

しばらくは重松さんの作品を読もうと思う。

「東京島/桐野夏生」 [書籍]


東京島 (新潮文庫)

東京島 (新潮文庫)

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/24
  • メディア: 文庫


清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える―。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世紀。谷崎潤一郎賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

映画の予告編のCMを見て面白そうな話だなーと思って買ってみた。
近くの書店で今月中に読めば話題の本なので3割でまた
買ってくれるらしい。

で、感想はと言うと・・・
読むのが大変でした(^^;;

というのも、なんか話の展開がよく分からず、結局は四十女の
ワガママな話なのか?!と思ったり、31人のことも彼らの背景を
ちょろちょろ描きつつも、どの人に結局照準を合わせたかったのか
よくわからなかったなー。

もとは短編だったらしいので、あとで描き足した話が余分と
言ったら失礼だけど、なんだかな。

たぶん、映画も見に行かないと思います・・・。

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。/鴨志田穣」 [書籍]


酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (講談社文庫)

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (講談社文庫)

  • 作者: 鴨志田 穣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/07/15
  • メディア: 文庫


アルコール依存症で離婚。10回の吐血。再飲酒。ついにアルコール病棟に入院することになった、元戦場カメラマンの「僕」。そこで出会った個性的な面々との生活が、僕を変えた。うちに帰りたい―。依存症を克服し、愛する元妻、子供たちとの時間を取り戻したが、そこには悲しい現実が…。笑って泣ける私小説。
(「BOOK」データベースより)

漫画家、西原理恵子さんの元ダンナさんの著書。
残念ながら腎臓ガンで亡くなってしまった。

西原さんの本でも、何度も「鴨ちゃん」のことが描かれているが、
その中の鴨志田さんはいつも目がいっちゃってアル中まっただ中、
という感じで、一体どんな人だったのだろうとずっと思っていた。

お互い「本」を執筆し、お互いがお互いのことをよくかいていて、
文中では相手のことを直接「好き」とか「愛してる」などという
言葉はないのだけれども、離婚したものの、お互いを本当に
想っているのがひしひしと伝わった。

鴨志田さんもいろいろな想いがあったのだなあと、
最後の、退院前に自分の生い立ちについて、ほかの患者の前で
発表をするシーンがあったのだけど、余命1年と告知されて
からの告白、とても読み応えがありました。

また改めて西原さんの「毎日かあさん」を読み返してみよう。

「天使のナイフ/薬丸岳」 [書籍]


天使のナイフ (講談社文庫)

天使のナイフ (講談社文庫)

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/08/12
  • メディア: 文庫


生後五ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ三人は、十三歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。四年後、犯人の一人が殺され、檜山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

「告白」に続いて読み応えのある作品でした。
新人作家でここまで書けるってすごいなあ。

改正されても今なお少年犯罪が起こると物議が醸される
少年法についてよーく調べてあって、被害者家族の立場と
少年を守る側の、たとえば施設の人、弁護士、親の立場両方の
気持ちや考えをうまく書いてあるなあと思いました。

大人が犯人であればその人の名前や、裁判でも犯人がなぜ
殺さなくてはならなかったかの動機を被害者家族が知ることが
できるのだけど、少年法の元にいる未成年の犯人が相手となると
名前も知らされず、事件の詳細も分からず、本当にその少年が
更生したのか、反省をしたのか、と当然知りたいことを
知ることができない。

少年法は未成年の犯人には未来を保証してくれるのだけど、
被害者家族はその事件で時が止まり、未来を断たれるのだと
いうことが全く配慮されていないのだなあと改めて感じました。

作品では、過去から現在までの少年犯罪当事者が複雑に
絡み合っており、ネタバレになってしまうので詳しく書きませんが、
一度起きた殺人の恨みは消えず、一見関連性のない事件は
実は復讐に復讐が重なっている殺人の連鎖となっています。

なぜ作品中では連鎖が起きるのか、それは被害者家族から見て、
犯罪を起こした少年が事件のあとにどのように裁かれたのか、
本当に反省したのか、更生したのか、被害者家族に対して
どう考えているのかということを全く見えなくしてしまう少年法と
いうものについて考えさせるようにしているのかなと思いました。

あ、あとこの作品の舞台が大宮を中心にした埼玉県なのですよ。
細かく描写されてあって、とても想像しやすかったので
余計に面白く感じたのかもしれません。

「夜明けの街で/東野圭吾」 [書籍]


夜明けの街で (角川文庫)


夜明けの街で (角川文庫)


不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。
(「BOOK」データベースより)

なんかすっごい男目線の不倫の話という感じ(^^;;
世の中の妻も愛人もそんなに甘くないぜ~~(笑)

それはさておき、不倫の三角関係も真犯人についても
劇的な結末が待ってるかなと思ってワクワクしながら
読み進めていったのですが、オチこれかいな!
という結末でなんかモヤモヤ。
むーん。

「青い鳥/重松清」 [書籍]


青い鳥 (新潮文庫)

青い鳥 (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。でも、先生は、授業よりもたいせつなことを教えてくれる。いじめ、自殺、学級崩壊、児童虐待…すべての孤独な魂にそっと寄り添う感動作。
(「BOOK」データベースより)

作者の重松さんも吃音なんだそうだ。
そういえば、前に糸井重里さんとの対談を聞きに行ったことが
あったけど、でも気にならなかった。

でも作中の村内先生はカ行とタ行がつっかえてうまくしゃべれない。
その代わり、大事なことしか言わない。

いつも先生は「間に合ってよかった」と、
悩みを抱える生徒に語りかける。

一応国語の先生だけど、いつも誰かの代員教師。
大切なことを伝えたあと必ずどこか次の生徒のところに行ってしまう。

私も大人になっても相変わらず悩みはたくさんある。
たぶん、一生何らかの悩みはありながら生きていくのだろう。

そんなときに、村内先生のような人がいたら。
どれだけ生きていく希望となるかなと考えた。

「告白/湊 かなえ」 [書籍]


告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: 文庫



愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。第29回小説推理新人賞受賞。
(「BOOK」データベースより)

超久々の書籍カテゴリー(^^;;
会社を辞めてからは電車に乗らないので、あまり本を読んで
いなかったのだけど、またガツガツ読みたいなあ。

ということで、たまたまいいともを見ていたら、ゲストに松たか子さんが
出ていて、この映画の告知をしていました。

告白というと、甘酸っぱい方を思う方もいらっしゃると思いますが、
いえいえ、これは娘をクラスの生徒に殺された女教師が、クラスの
生徒たちに向かって犯人をほのめかし、そして復讐をするための手段を
すでに打ってある、と告白することから始まるストーリーです。

女教師は淡々と語っており、でも第1章の「聖職者」の最後では
衝撃的な復讐の手段を告白するところで終わります。

何年か前に読んだ東野圭吾の「手紙」から、私は世の中の殺人事件の
被害者だけでなく、加害者と加害者の家族の気持ちまで漠然とですが
考えるようになったのですが、この小説も娘が殺されてしまったことにより、
いろいろな立場の人(犯人の少年、その親など)からあらゆる角度で
語られていて、とても興味深く読むことができました。

結果的には全くハッピーエンドで終わらないです。
この先どうなっていくのか・・・と考えると、やはり起きてしまった
事件からは憎しみや復讐の気持ちは消えないのだろうな、
再生、更生というのも言葉では簡単に言えるのだけど、
そう簡単にいくものではないと思いました。

映画もぜひ観てみたい・・・けど、いつも原作を読んでから観ると
「違う~」ってなるので、今回もどうかな。

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